次の点についてお伝えします。
・この本の気になった点を3つご紹介
私自身、ビジネス書などを年間少なくとも100冊くらいは毎年読んでおります。
そのため、本棚には2000冊以上あります。
著者の桐生さんは、もともとは人材派遣会社の営業をされていたそうです。そこで、雑談の持つ力を見つけ、結果を出せるようになったそうです。現在は、コミュニケーション能力を高めるスクールを経営されています。
雑談というと、一見ビジネスにも関係ないように見えます。ところが実際の仕事の多くは、雑談によって支えられていることが多いです。人は聞かれたことだけを答え、必要のあることだけを伝えるロボットではありません。何を話し、何を聞き、やりとりするから信頼関係がうまれることもあります。
本のタイトルにある一流、二流、三流とありますが、本文には多くの人がやっちゃうよね、と思われることが多く書かれています。本当はこうすると、もっとよかったのかも、と気づかされる一冊です。
以下、2,3分で読める記事ですので目を通していただければ幸いです。
書評「雑談の一流、二流、三流 桐生稔」【話相手への愛が根っこにある】
著者 桐生稔
出版 明日香出版社
雑談の王道
「誰もが絶対に興味があるネタ」とはなんでしょうか。
それは人間が毎日する5つのことです。
1:食べること
2:動くこと
3:働くこと
4:お金を使うこと
5:寝ること
何か事情があって、まったくしないときもあるかもしれませんが、基本的には1~5は毎日行う行為です。人間が毎日やっていることは人間にとって大事なことです。大事なことは誰でも興味があります。興味があることを話題にすれば、どんな人とも話が展開しやすくなります。
(中略)
話すネタをたくさん用意してマシンガントークのように話す人と、自分に興味があることを話題にしてくれる人では、どちらが話しやすいでしょうか?雑談はあくまでも相手との心地よい空間を作ることが目的です。話す中身よりも、話しているときの「心地よさ」を作り出すのが一流です。
出典 雑談の一流、二流、三流 P.35
※動くこと→運動や行動について 寝ること→睡眠時間や寝つきについてなど
話すネタがないときには、この5つから選べばよい、ということです。
こういった方法は、お互いに知らない人同士だったりしたときに使うものです。
お互いに知っている同士では、これらを意識するとかえって変な感じになると思います。
お互いの関係性ができていないとき、どうやってお互いのことを知っていくのかの切り口になります。
承認欲求を満たす
(「最近大変」で、などネガティブな話題に対して)
最後は相手を承認し、称賛し、奨励する。
「モチベーションスイッチ」をカチっと入れて、マイナスからプラスの状態で会話が終わるように、会話の末尾を意識してみてください。
出典 雑談の一流、二流、三流 P.96
相手の言ったことに、大変ですね、と同調することも大事です。
ただ、それだけでなく、応援して話が終わる方が良いですよ、ということです。
応援というのは力がいることです。誰だって、自分のことにしか興味がないのに、わざわざ、他人の応援をする。
これはまさに、「スイッチ」を入れる必要があります。
桐生さんは、「一流は、全力で励ます」と書いています。
この人を励ますということは結構、難しいです。
なぜなら、表面だけ応援すれば間違いなく、かえって反感を買うでしょう。
相手の立場に立って、それをなるべく理解した上で、応援する。
これが、一流だということです。
場における自分の役割を見極める
飲み会での役割は、主に次の三つしかありません。
①まわす人
②話す人
③聞く人
①まわす人とは、全体に目を配り、話を振ったり、質問したり、食事や飲み物の配慮をして、その場を快適に過ごせるようにコントロールする人。テレビで言えば、MC役です。
②話す人とは、その場をリードしていく人です。自分から話題を作り、ネタを提供して、話を展開していく人です。
③聞く人とは、反応よく、リアクションを交えながら、話を聞く人です。
飲み会に来たら、今日この場は、「誰が①まわす人 ②話す人 ③聞く人なのか?」を見極める。そして、空いているところを自分が担当する。すると全体の役割が機能して、「なんだか今日は楽しかったよね」と皆さんに喜んでいただけます。
(中略)
一流は、飲み会の場においても、「自分がどうありたいか?」よりも「その場がいかに最適になるか?」に重点をおいて、場に貢献しようとしているのです。
出典 雑談の一流、二流、三流 P.141
こういったことができる人は決して多くないと思います。
誰だって、面倒なことはしたくないわけです。
ただ、気を付けなければいけないのは、「自己犠牲」です。
この気持ちがある人が一生懸命やる、みんなが楽しんでくれれば、自分は楽しめなくてもいい、それは間違いです。
その役割を意識することは大事ですが、自分も楽しまないと、ギクシャクした感じになります。
みんなが楽しんでくれれば、という気持ちは素敵ですが、自分は楽しめなくてもいい、という気持ちは必ず伝搬します。
つまり、シラけた人がいるということです。
これは、サービス業においても同じことです。
店員さんが一緒になって騒いでいたら困りますが、自分もその場にいることが楽しい、その役に立ててうれしい、という気持ちがあれば場は明るくなります。
「自分は仕事だから」とシラけた店員さんがサービスするより、「来てくれてありがとうございます!」という気持ち、盛り上がっている人とはまた違うけれども、「楽しい気持ち」で接してくれる店員さんはきっと人気が出ます。お客さんもまた来たいと思うでしょう。
少し雑談からそれた話になりましたが、この本はハウツー本です。
そのため、たくさんの雑談やコミュニケーションをするための方法が載っています。
雑談というより、会話を楽しむための方法といえます。
その方法を一つ一つ実践することも大切ですが、同時に必要なのは、相手へのリスペクト(相手を尊重する気持ち)です。
それがあれば、ここに書かれていることもスムーズに実践できるようになると思います。
それを無くして、ただ、機械的に行ってもうまくはいかないでしょう。
いきなり尊重する気持ちといっても難しいですから、この本に書かれていることを行うことは、その一歩になると思います。
相手へのリスペクトをもって、この本に書かれていることを実践したらそれこそ「一流の人」になると思います。
是非、一度手にとってこの本を読んでいただければと思います。
目次
Chapter1 雑談のはじめ方
- 最初のひと言
- ファーストコンタクト
- 出会いがしらの挨拶
- 話題がないとき
- 雑談前の準備
- 名前の覚え方
Chapter2 話の広げ方
- 雑談上手
- ネタの収集
- 質問の質
- 質問のボキャブラリー
- 話が止まったとき
- 会話が膨らむほめ方
- ほめるところ
- 距離の縮め方
Chapter3 聞き方とリアクション
- 話を聞くとき
- リアクション
- 承認欲求
- ネガティブな話の対処法
- 意見が異なったとき
- SNS
Chapter4 雑談の盛り上げ方
- テンポ
- 説明
- 惹きつける
- 笑い
- 複数人に伝える
- 自分の話をするとき
- 長めの雑談
- 空気を読む
- 飲み会
Chapter5 相手の懐に入る方法
- 姿勢
- ボディーランゲージ
- 自己開示
- 年配との接し方
- 年配との雑談
- 苦手な上司との接し方
Chapter6 好印象の残し方
- 印象づけ
- 記憶に残す
- 最後のひと言
- もう一度会うためのコツ
- 別れ際
Chapter7 雑談がうまい人の心構え
- 相手への関心
- 自信
- 自己投資
- 成功の秘訣
- 熱