次の点についてお伝えします。
・この本の気になった点を3つご紹介
私自身、ビジネス書などを年間少なくとも100冊くらいは毎年読んでおります。
そのため、本棚には2000冊以上あります。
ひろゆきさんは、2ちゃんねるの創設者として有名ですね。
最近では、メディアにも出られているようです。
データはそれほど多くなく、読みやすい本です。
ひろゆきさんがフランスに住み、そこから日本はどのように見えるのか、何がおかしいのかを客観的に述べられている本です。
どうしても、私たちは普段、日本国内にいるために本当は異常なことでも異常だと気づけないことは多くあります。
これからの世の中がどうなっていくのかを考えるためにも、私たちの国を客観的にみる視点というのは大事です。
それを知ったうえで、自分の行動をどう変えていくか、ということです。
この記事は2,3分で読めますのでもしよろしければ目を通していただければと思います。
書評「叩かれるから今まで黙っておいた 世の中の真実 ひろゆき」【これからの日本を生きるために】
著者 ひろゆき
出版 三笠書房
働き方の効率が悪い
立派なインフラは整っているのに、ビジネスの効率が悪い。これは、日本にはびこる「長時間労働」の結果によるものでしょう。短時間で成果を出せる環境は整っているのに、「長く働く」ことが当たり前になってしまっている。環境が整っていても、それを使う人間が疲弊していては意味がありません。
日本は国内総生産(GDP)こそ世界3位ですが、一人あたりに換算すると26位。しかも、年々ランクは落ちています。このデータからも、海外諸国に比べて日本人の働き方そのものが非効率だというのがわかります。(中略)
たとえば、日本ではいまだに能力による評価があまりなされていません。「年功序列」という制度が、多くの職場で撤廃されずに残っています。
出典 世の中の真実 P.32
いまさら言うことではないかもしれませんが、長時間労働についてはたびたび議論されています。
働くのが好きな人は好きなだけ働けばいいし、そうでない人はそうでないようにすればいい、というところではあります。
ただ、そういう働き方以前のところで、一人あたりのGDPが低いというのは問題だと思います。
ひろゆきさんもこの本の他のところで書かれていますが、日本は、「安い国」になったということがあります。
ユニクロにしたって、100円ショップにしたって、日本だけは他の国よりも安い価格が設定されていると。
今、力とお金をもっている60代、70代の人たちは、その事実に気づいていないということもあるかもしれません。
80年代、90年代の日本に勢いのあった時のイメージが強いために、今の日本がいかにひどい状況になっているかということを見ないし、自分たちがやっていたことと、同じことを若者もしていればそれでいいんだ、という思想が根強いでしょう。
これから、ますます国内の思想の古い企業は厳しい局面を迎えるとは思いますし、むしろ迎えて欲しいと思います。
そうしないと、変わりませんので。
謎の延命装置は企業にも、老人にも
国がやるべきなのは、潰れそうなダメ会社を延命させることではなく、生活が困窮している国民に十分な援助をすることなのです。
自分たちの給与や企業年金を高くしすぎて潰れていったJAL。そんな会社を助け、あげくに優先的に空港の発着枠を与えていたために、若いLCCの企業が躍進するチャンスが奪われました。これを日本社会の損失と言わずして何でしょう。
まるで、ゾンビのように無理やり存続させる「謎の延命装置」によって、大きいというだけで問題のある会社が助けられている。これが日本のビジネス界の現状です。
こうした「大企業優遇志向」からどこかで脱却していかないと、僕ら日本人はいつか大きな代償を払うことになるでしょう。
出典 世の中の真実 P.90
ひろゆきさんの言う、この謎の延命装置、企業だけじゃないなと感じました。
結局、「やさしさ」ってなんだろうというところに話はいきます。
確かに、1日でも長く生きて欲しいと家族が望むかもしれません。でも、意思の疎通もできなくなった人がそれでも生きていたいと思うんですかね。
もちろん、病気や事故などで若くして意思の疎通ができなくなった人ならいざ知らず、お年寄りになって体の機能が低下したことによる場合、どうなんでしょう。
「やさしさ」ってすごく表面的な感じを受けます。
「思いやり」ってもっと重みがあるような気がします。
「やさしさ」でつぶれるべき企業を延命させている、本来死ぬべき老人が延命させられていることがあるような気がします。
企業にも人にも寿命はあります。
この「謎の延命装置」が日本の足かせになっているのではないでしょうか。
先の長時間労働や、年功序列も、「やさしさ」がベースにあるような気がします。
長く働いてくれてから、費用を払う、昇進する。
もし、長く働いても評価されなければ、自分の場所はここではない、ということで、他のステージに行く方が良いのかもしれません。
でも、どんどん給料も上がってとなれば、それが良いのだと思い、他の場所に行くことも考えませんね。
日本の生産性の低さは表面的な「やさしさ」が作っているのかもしれません。
大学で学んだことは無駄なのか
経団連の調査では、企業が新卒者を採用するにあたって「選考時に重視する要素」に挙げている1位は、16年連続で「コミュニケーション能力」だったそうです。個人のスキルより、みんなと一緒にうまくやれることを求めているわけです。だから、大学で一生懸命勉強して、学術的に評価される論文を書いた人より、ろくに授業にもいかず、バイトやサークルでリーダーをやっていた人を優先して採用しているのです。(中略)
理系の大学院を出た学生はメーカーの研究職などに就ける可能性があるので、まだ将来性がありますが、文系の大学院を出た学生は就職のハードルがかなり高いのが実情です。
では、海外はどうなっているのかというと、日本とはまったく逆です。
欧米では、学部卒よりも、院卒のほうが就職に有利になります。収入も院卒の方が高い傾向にあります。企業内に大学院で学んだ専門知識や課題解決力を生かす環境が整っているのです。
また、大学院に進んだ学生の学費免除制度など、経済的な支援も積極的に行っています。
出典 世の中の真実 P.151
これは特に思い当たる人も多いのではないでしょうか。
確かに理系はまだ、入社時は大学院の方が給料も高いですし、学科を指定して募集をしている企業も多いです。
でも、理系って、文系よりずっと人数が少ないはずです。良く聞くのは、大学の学生の人数の比率は文系7割、理系3割といいます。
理系の中でもごく一部の分野においては企業も評価して採用しているところはあるけれども、他ではほぼ考慮しないということです。
大卒の大半を占める、文系の募集については「学科問わず」と書かれている就職の案内が多いです。
それって、ひどい話だと思います。
何を学んできたかは評価しませんよ、という意味ですから。
では、何のために大学に進んでいるのかということです。
大学は4年間あります。その中で勉強することは何のための勉強なのかということです。
この流れはすぐには変わらないでしょうけども、なんらかの理由で、大学で学ぶことと、企業で求めていることがずれてしまっているのかもしれません。
最初の方に書いた、日本の生産性が低いというのもこういうところにも原因があるように感じます。
ざっと、気になった点を書いてみました。
どれも一筋縄ではいかない内容ばかりではありますが、私たちの住む日本が少しでも良い国になってほしいと思います。
ひろゆきさん自身は若者向けに書いたようにも見えますが、特に若者ではなくても参考になる箇所が多いです。
もしよろしければ、手にとっていただければと思います。
目次
はじめに
Chapter1 社会 「生きづらさ」の正体に気づけない人たち
- 日本の現状、見えていますか?
- 「競争」は激しいのに「衰退」していく
- ”安い国”ニッポン
- 「世界競争力ランキング」からわかる存在感
- 急速に進行する「格差化」
- 「黄色いベスト運動」が示す事実
- 「貧乏」が頭を悪くする
- 特別扱いがすぎる「上級国民」
- 高齢社会で起きていること
- 制度を壊す「歪な比率」
- お金も仕事も奪われる若者
- なぜ、日本に「革命家」が現れないのか?
Chapter2 仕事 「モンダイ」を抱えてがむしゃらに働く人たち
- 仕事のムダ、会社のムダ
- 「ペタンク界のイチロー」を襲う悲劇
- 自分から進んで”残業したがる”人
- 「おじさん」に振り回される組織
- これからの働き方について話そう
- AIが変える「10年後の仕事」
- 「最低賃金が上がる」とアルバイト側が損をする
- 超有名企業の「ゾンビ化問題」
- 「働き方改革」で社会は変わる?
- 会社も個人も得をしない「全体主義」
- 「いいブラック企業」が生き残る
- フリーランスは「未来の働き方」の実践者
Chapter3 教育 「謎の慣習」に従い続ける人たち
- 「遺伝」と「知能」の真実
- ”努力すれば報われる”の残酷さ
- 「東大の子は東大」は正しい
- 「子どものため」に間違う親
- 「〇〇禁止」は逆効果を生む
- 親と子の”すれ違い”が生まれるわけ
- よくわからない「学校ルール」
- なんとなく残り続ける「ブラック校則」
- 残念ながら……いじめは”なくならない”
- 「役に立つ」勉強をしよう
- 大事な大事な「お金」教育がない
- 必要なことは”学校以外”で学べる
- 完璧主義に縛られる子どもたち
- 「大学」と「社会」の間の摩擦
- 「大学で学んだこと」を無視する企業
- 「大卒に意味はない!」――インフルエンサーの嘘
- デジタルネイティブ世代の「意外な特徴」
Chapter4 政治 「終わるきっかけ」を必死でつくる人たち
- 世界にはびこる「閉塞感」
- 限界寸前の民主主義
- 「国は借金をしまくっても潰れない」の嘘
- 「日本だけ」の残念政策
- 「規制」は早い、「認可」は遅い
- 「外国人労働者受け入れ」の問題点
- 「地方自治」の危機
- 博多駅前の道路陥没と岡山市の堤防決壊
- 「都会のまね」に精を出す地方自治体
- 「選挙」では何も変わらない
- 「1人1票」が生み出す不平等
- 政治家が大切にしているのは……?
Chapter5 人間関係 「付き合い方」を間違えている人たち
- 令和時代の「人付き合い」
- 炎上を起こすのは「たった1%」
- 誰も「嘘を見破れない」世界
- 「人の幸福」は「自分の不幸」
- 「私が苦労したからお前も苦労しろ」の呪縛
- 「当然の権利」すら受けづらい日本
- 「恋愛」も不都合な真実だらけ
- 男女の「切ないすれ違い」
- お金のない夫婦の悪循環
おわりに