次の点についてお伝えします。
・この本の気になった点を3つご紹介
私自身、ビジネス書などを年間少なくとも100冊くらいは毎年読んでおります。
そのため、本棚には2000冊以上あります。
古賀さんといえば、「嫌われる勇気」で大ヒットを出したライターです。
この本は、単著でのデビュー作です。
ある意味、理系的な文章です。読まれる文章を書くための具体的な手順が書かれています。
文章マニュアルといっても良いかもしれません。
そのために、面白くさらっと読めるという本ではなく、一つずつ実践していくことができる本です。
古賀さんがライターとして一つずつ見つけたことをまとめた本です。
この記事は、1,2分で読めますので、目を通していただければ幸いです。
書評「20歳の自分に受けさせたい文章講義 古賀史健」【文章術の基本と実践】
著者 古賀史健
出版 星海社新書
文章を書くのではなく、頭の中を翻訳する
どうすれば自分の”感じ”や”思い”を、文章として正しくアウトプットできるのか?
ぼくの結論はシンプルだ。書くことをやめて”翻訳”するのである。
文章とは、つらつらと書くものではない。
頭の中の「ぐるぐる」を、伝わる言葉に”翻訳”したものが文章なのである。
「なんじゃそりゃ?」でかまわない。まずはここからガイダンスをスタートしよう。
(中略)
①再構築……言葉にするプロセスで話の内容を再構築する
②再発見……語り手の真意を「こういうことだったのか!」と再発見する
③再認識……自分がどこに反応し、なにを面白いと思ったのか再認識する
出典 20歳の自分に受けさせたい文章講義 P.31,P.43
この頭の中の翻訳こそが、文章を書くことだと言われています。
古賀さんの言われる、”翻訳”について、具体的にどのようにすれば良いのか書かれています。
例えば、①については誰かに話すことでできると言われています。
人に話すということは、自分の言葉で整理する必要があります。
また、自分がわかっていないことが何なのかも知ることができます。
文章を書く前にこの①②③を意識しながら、人に話すだけでも訓練になると言われています。
これが一番のベースにあります。
文章には主張必要
文章を書くからには、なにかしら伝えたいことがあるはずだ。
たとえそれが企画書やレポートなどの「書かされる文章」であっても、そこには伝えるべきことがあるはずだ。
ところが、読み終えたあとに「結局なにが言いたかったんだ?」と困惑する文章は、意外なほど多い。これは文才やテクニックの問題ではないと、ぼくは思っている。
書き手自身が「自分がなにを書こうとしているのか」をあいまいにしたまま書いたため、読者になにも伝わらないのである。
出典 20歳の自分に受けさせたい文章講義 P.132
映画や、本を読むときでも、何を伝えようとしているのだろうか、ということは誰しも考えます。
それがはっきり伝わってこなかったときに、「何を伝えようとしているのかわからなかった」のようになります。
この本にも書かれていますが、なんらかのコンテンツを見たり読んだりしているときには、その伝えようとしていることを私たちは読み取ろうとしています。
だからこそ、そこがブレてはいけないということです。
文章のスクールでも、文章を書く「目的」をまず書くと言われました。
それは、自分が道に迷わないためと言われましたが、同じことを言われているのだと思います。
ターゲットをしぼる
情景描写や年齢設定、心象描写の細かいラブソングは、感情移入することができる。たとえ自分にそんな経験がなかったとしても、だ。スキー未経験者でも「ゲレンデの恋」を扱った歌に感情移入できてしまうのが、ラブソングなのだ。
多数派をターゲットにするいことをやめ、読者を絞り込むこと、特定の”あの人”にまで絞りこむことに躊躇(ちゅうちょ)する必要はない。
むしろ”みんな”から喜ばれようとするほど、誰からも喜ばれない文章になるのだ。
出典 20歳の自分に受けさせたい文章講義 P.169
ターゲットを絞ることの大切さは、ありとあらゆるところで言われています。
でも、誰でもはっきりと主張することは怖いです。
そのため、どうしても当たり障りのないことで伝えていくようにしてしまいます。
この本の中でも、有名なブロガーは批判も辞さない覚悟で自分の”主張”を述べ、決して八方美人であろうとなどしていないと言われています。
文章を書いたりすることで、それが、全国に放送されるなんていうことは普通はありません。
ほんの一部の誰かが読んでくれるかもしれない、というものです。
多くのヒットしている音楽なども、ごく一部の誰かを歌った歌だったり、誰かのための歌だったりします。
少し前になりますが、上村花菜さんの「トイレの神様」の歌もそうです。
自分のおばあちゃんの歌を歌っただけなのに、こんなにヒットするなんて思わなかったとラジオで話されていました。
でも、本当は逆で、世界のおばあちゃんのために歌った歌だったら、誰にも響かない。
上村さんが自分のおばあちゃんを歌った歌だったから、みんなの共感を得た。
これは、なんらかの創作活動をする人にとって、必要な視点です。
ほんの一部のご紹介ではありましたが、より具体的にどうやって伝わる文章、読まれる文章を書くことができるのか、について書かれています。
ここでのご紹介は、わりと概念的なことを書きました。
本には、もっと具体的なこともたくさん書かれていますので、是非、読んでみてください。
目次
はじめに「話せるのに書けない!」のはなぜか?
- 文章がうまくなる必要なんてない
- 「話ことば」を「書き言葉」に変換するノウハウ
- 学校の作文はすべて忘れよう
- 書くことは、考えることである
ガイダンス その気持ちを「翻訳」しよう
- うまく言葉にできない、頭の中の「ぐるぐる」
- なぜ”翻訳”が必要なのか?
- 「頭の中が見せられるなら見せるんだ」
- 「あー、面白かった」しか言えない人
- 聞いた話を”自分の言葉”で誰かに話す
- 「地図・絵・写真」を言葉にしてみる
- 「書く時代」が訪れる前に
第1講 文章は「リズム」で決まる
- 文体とは「リズム」である
- 「リズムの悪い文章」
- 「バカバカバカ」と笑う女子高生
- リズムのカギは接続詞にある
- 美文よりも「正文」を目指す理由
- ローリング・ストーンズに学ぶ文章術
- 文章の「視覚的リズム」とは?
- 句読点は「1行にひとつ」
- 改行のタイミングは早くていい
- 漢字とひらがなのバランスを考える
- 音読してなにをチェックするのか
- 断定はハイリスク・ハイリターン
第2講 構成は「眼」で考える
- 文章の面白さは「構成」から生まれる
- 起承転結は悪なのか?
- 文章のカメラワークを考える
- 導入は「映画の予告編」のつもりで
- 予告編の基本3パターン
- 論理展開のマトリョーシカ人形
- すべての文章には”主張”が必要だ
- ”理由”と”事実”はどこにあるか
- ”面倒くさい細部”を描く
- 構成の”絵コンテ”をつくる
- 文章量を”眼”で数える
第3講 読者の「椅子」に座る
- あなたにも”読者”がいる
- 「10年前の自分」に語りかける
- たったひとりの”あの人”に向けて書く
- 「わかるヤツにわかればいい」のウソ
- 「生理的に嫌いな文章」に注目する
- 読者は「どんな姿勢で」読んでいるか
- ”説得”せずに”納得”させる
- 人は「他人事」では動かない
- ”仮説&検証”で読者をプレーヤーにする
- 読者を巻き込む「起”転”承結」
- 冒頭に「真逆の一般論」をもってくる
- 読者と一緒に「寄り道」をしよう
- 自分の文章に自分でツッコミを入れる
- 「大きなウソ」は許されるが、「小さなウソ」は許されない
- 「わかったこと」だけを書く
- 目からウロコを何枚落とすか?
- なぜ「あなたにも”読者”がいる」のか?
第4講 原稿に「ハサミ」を入れる
- 右手にペンを、左手にはハサミを
- 「なにを書くか?」ではなく「なにを書かないか?」
- 伝わる文章は”オレンジジュース”
- まずは頭の中の”ぐるぐる”を紙に書き出す
- 下手な文章術より映画に学べ
- 「もったいない」のサンクコスト
- なぜ文章を切り刻むのか?
- 図に描き起こすことができるか? 映像は思い浮かぶか?
- 行き詰ったらフォントを変えてみる
- 1回ではダメ。2回は読み返す
- 「いい文章」とはなにか