MIRAI INSTITUTE 書評

書評「We Work HERE 東京のあたらしい働き方100」【働き方が参考になる】

次の点についてお伝えします。

・この本の気になった点を3つご紹介

私自身、ビジネス書などを年間少なくとも100冊くらいは毎年読んでおります。
そのため、本棚には2000冊以上あります。

この本は、コワーキングスペース「みどり荘」にいる人たち100人に聞いた、「働くとは何か」ということについて書かれています。

第一刷が2016年ですので少し古いかなと思ったのですが、内容は全く古くありませんでした。
むしろ、そこで紹介されている人たちが、今、どうなっているのかも検索すればわかります。
だからこそ、少し前の本でも十分参考になることがあります。

色々な形で働いている人たちだからこそ、生き方、働き方にこだわっている。
働き方は人の数だけある。本当に細かく取材されており、大きな文字でわずかな紹介とかではなく、小さな字でどうやって今までやってきたのかがわかるように書かれています。
取材した人たちの心意気を感じます。

こんな働き方もできるのか、また、その人達がこういうサイトやサービスを作っているのか、など情報が盛りだくさんです。
これだけの情報が詰まった本は、ある意味、お買い得です。
一人ひとりの「これは!」と思うものが詰まっていました。

普通、よほどの有名人じゃないと、その人のプロフィールや自叙伝なんて出ていませんよね。
本当はすごい面白い人たちはたくさんいる。
でも、細かくは普通紹介されない。
その、面白い人たちを詳しく紹介した、そしてどんなサービスを提供して、どんな風に働いているのかを知ることができる本です。

生き方、働き方に迷っている人にとって参考になります。

この記事は、2,3分で読めますのでもしよろしければ目を通していただければと思います。

書評「We Work HERE 東京のあたらしい働き方100」【働き方が参考になる】

We Work HERE

編集 MIRAI INSTITUTE
出版 MIRAI INSTITUTE

働くことは息をするのと同じこと Luis Mendo

いつも楽しそうにしているから、「人生どうしたらいいんだ、今の仕事が好きになれない…」って相談を受けることが多いんだけど、彼らにはいつも同じことを聞き返すんだ「得意なことは何なの?」ってね。すると、営業が得意とかマーケティングが得意とか答える。「だから、そうじゃなくって、本当に得意なことって何?」って再度聞く。僕が聞きたい答えは、人の話に耳を傾けられることとか、掃除が得意とか、もっと些細なこと。最初からそれが仕事にならなくたっていいんだ。だけどね、その質が高くって、楽しめることであれば、それが仕事に繋がるんじゃないかな。

出典 We Work HERE P.67

ルイスさんは、オランダで会社を経営していたこともあったりしたけど、今は東京でイラストレーターとして働いています。

サイトはこちら

本には載っていなかったので、その取材後にクリエイター同士をつなげるワークスペースも開いています。

サイトはこちら

(※ 2021/1現在 コロナ禍のためイベントは行っていないようです)

どうやって働くか、何が得意か、楽しめるか。
それはみんなあるはずですよって。

どうしてもいままでこれをやってきたから、という延長で探そうとしてしまいます。
もちろん、それがまずいとは限らないですが、今の自分とずれている場合もあります。

ルイスさんの言われる、「何が得意?」という言葉はもっと根本にかかわることを聞いています。
当然、大きなこととは限らないですね。
また、収入がどうとかも問題でもない。

もちろん、その働き方が合う人、合わない人もいるのでいちがいには言えませんが、私はこのルイスさんのような働き方をしたいと思います。

元々は、趣味でカレーを作って友達に振る舞ってたの 梶原英徳

実は初めて包丁を持ったのは、一人暮らしを始めた二十八歳の頃。会社から帰ってきて料理をするのが、すごいストレス発散になってたんだよね。いまだに料理は好きだけど、カレーが一番上手ってわけじゃないのよ。パスタの方がうまい気がする(笑)。だからカレー屋じゃなくても、なんでもよかったんだろうね。働くためにカレーを選んだというか。「あ、これなら自分でできるかな」って。会社員の仕事と違って評価がすぐに返ってくるし、食べている人の顔を見れば「おいしい」っていうのが伝わってくるし、それだけのためにやってるようなもん。

出典 We Work HERE P.83

梶原さんは、もともと美容師とバンドマンの2足のわらじを履いていたそうです。その後、会社員にもなったそうですが、会社員としての仕事ははじめから合わなかったそうです。
ストレス解消に料理をするということからも、相当な料理好きと思われます。

きっと、好きなことが料理なんだと思います。その結果、得意にもなっていったのかもしれません。
あと、とても参考になる箇所として、「会社員の仕事と違って評価がすぐに返ってくるし」とあります。

これが好きな人と、嫌いな人がいます。
会社の仕事というものは、直接お客さんと顔を突き合わせる仕事もあれば、そうではなく、あくまで組織の中の一人として運営する側ということもあり得ます。

店頭に出ているお店の店長タイプが良いのか、組織を運営する裏方が良いのか、ということです。

ここも、好き嫌いがとてもはっきりします。

同じ料理を作るでも、大手企業のセントラルキッチンで料理を開発する人もいれば、梶原さんのように直接お客さんの顔をみたいという人もいる。
あなたはどちらのタイプですか、ということです。
これは料理に限らないことです。

コワーキングスペースだから仕事が生まれた Martin Menzel

フリーランスとしてのキャリアをスタートすることができたのは、コワーキングスペースで得られる機会を十分活用したから。家にいるより「働かなきゃ!」というモチベーションが刺激されるのもよかったと思う。フリーランスには、自分でビジネスを作っていかなければならないという大変さもあるよね。2か月も収入がないことだってある。でも、あきらめず、しっかり働き努力を続けていればちゃんと報われるということもわかった。最初は大変だったけど、今は仕事のオファーを選べる立場になってる。(中略)

僕にとって「がんばる」ことは全部仕事だと思う。勉強も、自分の家を改装することだってそういう意味では仕事。自分自身の価値をみいだせずに消耗してしまう作業も仕事だけど、それだけでは辛い。でも、自分自身が意義を見出せるプロジェクトなら同じ時間かかりきりになっても苦にならない。自分にとっては、働く事って情熱なんだ。

出典 We Work HERE P.159

このマーティンさんは、ドイツで生まれてフリーランスでやられている方です。基本はベルリンで、3,4カ月に1度、東京のみどり荘にきて2,3週間滞在しているそうです。仕事とプライベートの境界もあまりないと言われています。なぜなら、「コワーキングスペースにいると、周囲の人は友人であり将来のクライアントになりうるわけだし」とも言われています。

このマーティンさんの言葉で参考になったこととして、コワーキングスペースでの仕事の効果について書かれていることがあります。
見学には私もコワーキングスペースにいくつか行ったことはあるものの、実際に使ったことはありません。ただ、フリーランスの人たちの集まりの場として使われているところにまた、自習室などのスペースとは違った効果があるのだと思います。

あと、マーティンさんの言われていることで、「自分の仕事を相当好きでなければ、フリーランスなんてやっていけないと思う」とあります。
上の梶原さんのように目の前のお客さんに対してどうする、というよりも、広告など、企業をクライアントとする働き方です。

3人だけご紹介しました。

その3人ですらほんの一部のご紹介ですが、実際には100人載っています。
どうやって今にいたるのか、そして働いてきたのか。働いているのか。

組織に属して、自分はあまり出さずに働くという形が大半の世の中で、この本に出てくる人たちは自分というものを出して働いている人たちです。

どういった働き方が自分にしっくりくるのか、それを考えることのできる本です。

もしよろしければ、手に取って読んでいただければと思います。

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