書評 森田正馬

書評「生の欲望 あなたの生き方が見えてくる 森田正馬 著」【戦前に書かれた本にも関わらず、時代の先を行っている】

次の点についてお伝えします。

・この本を読んで気になった点や気づいた点を3つご紹介

私自身、ビジネス書、歴史書、哲学書、技術系書籍などを年間少なくとも100冊くらいは購入して読んでおります。

精神科医で、森田療法で有名な、森田正馬先生が書いた本です。
戦前の人なのですが、内容的には、まったく色あせていません。

人生のコツについて書かれているような本です。

この記事は、2,3分で読めますので読んでいただき、何か一つでも参考になることがあれば幸いです。

休息は仕事しながらとれる

休息をするのに、かならずしも仕事を中止してぼんやりしている必要はない。

P.77より引用

要は、仕事を切り替えていくことで、休息にもなるということが書かれています。
頭を使う仕事をしたら、今度は体を使ったり、作業的なものを入れたり・・というようにです。
この本の例にも、哲学的なものを読んだら、今度は歴史的なもの・・というように。

これは、当たり前のようでいて、結構、忘れてしまいがちです。
仕事でも、同じ仕事をずーっとやっていると、だんだん効率が落ちてきます。

そこで、時間で切り替えることが大切です。
そうすることで、1日の密度を上げることができるというわけです。

勉強などでも同じですね。

船に酔わない法 (人生の波にのる方法)

船に酔わないもっとも簡単な方法は、動揺や響きなどをリズミカルに受け入れ、自分をそれに調和させるようにさえすればよい。もっと具体的にいうと、船の動揺にたいし、船が浮き上がるときにはじぶんの身体を持ち上げるような気もちになり、つぎに船が沈むときには自分の身体を押し付けるようにし~略~

P.112より引用

これは、船に酔わない方法として書かれていますが、実はこれは人生の波に乗る方法でもあると考えます。
他の場所に書かれているのですが、自分の境遇や環境に反抗するのではなく、そこに合わせるようにすると、物事はスムーズに進みます。

船に限らず、乗り物に酔いやすい人というのは、「頑固」な人に多いかもしれません。
自分の思い通りにならないから、「不快」なわけです。

でも、自分で、ボートを漕いだり、自分で運転をすると、酔わないのはそういう理由です。
自分のリズムだからです。

自分のリズムでは、どうしようもないものは、周りのリズムに合わせることが大切だと言えます。

わしは、ゆっくりしか歩けない

この本の大半は、森田先生の文なのですが、後半に水谷啓二さんという方の文章になっています。森田先生との晩年までの6年間一緒におり、その時のことなどが書かれています。
実は、この最後の部分が案外、他人から見た、「森田先生の言葉」というところで実は結構面白かったです。

わしは、ゆっくりしか歩けない。それがわしの身体の状態だ。これがもし考え方をあやまると、ほかの人のようにさっさと歩けたらなあと思い、ゆっくりしか歩けない自分の身体を悲観し、憂鬱でイライラした毎日を送ることになるだろう。しかし、わたしにはそうした煩悶(はんもん)はない。なぜかと言えば、両側の店を眺めたり、君に話をしたりすることに忙しいからだ。つまりわしは、ゆっくりしか歩けないという自分の状態を、もっともよく活用しているのだ。そこには、せっせと歩く人にはわからない楽しみと、いろいろは発見がある……

P.262より引用

この考え方が大事なのだと思います。
今ある自分の状態や環境をいかに生かすか、ということなのだと思います。

まとめ

本当は、もっとたくさん、「人生のコツ」が書かれています。

仕事に関することやウワサがなぜ広がるかなど、参考になることも多かったです。

戦前というと、きな臭い時代だったこともあり、考え方もだいぶ違うのではないかと思って読んでいましたが、そのまま現代でも通用するどころか、今の時代においてもさらに先に行っている考え方の本でした。

 

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