次の点についてお伝えします。
・この本の気になった点を3つご紹介
私自身、ビジネス書、技術系書籍などを年間少なくとも100冊くらいは毎年読んでおります。
そのため、本棚には2000冊以上あります。
ニュースを読むのが日課、いや、分単位でみている人もいるかもしれません。
もちろん、自分の仕事に必要な分野の情報は必要だと思います。
ただ、テレビやラジオ、インターネットのニュースのように、すべてをだらだら流すニュースになんの価値があるのかということです。
そもそも、価値があるどころか自分の人生を無駄にしていることに気づくことのできる本です。
この記事は、2,3分で読めますので目を通していただければ幸いです。
一番最後に目次を載せておきます。
書評「News Diet ロルフ・ドベリ」【ニュースをみても世界はわからない、変わらない】
著者 ロルフ・ドベリ
訳 安原実津
出版 サンマーク出版
2021年2月20日 初版発行
ニュースの対極の位置にあるもの
「ニュース」の対極に位置するのは、長い形式のものーー新聞や雑誌の長文記事、エッセー、特集記事、ルポルタージュ、ドキュメンタリー番組、本などだ。それらの多くが伝える内容は有益で、新しい知識やものごとの背景情報をもたらしてくれる。
それでも、用心を忘れてはならない。これらの形式を通して得られる情報が、常に重要だとは限らない。それが主として広告収入で運営されている媒体で発表されている場合は、情報の重要性よりも新しさに重きが置かれている危険性がある。
出典 News Diet P.044
私たちは世界中から、短いコメントと、ショッキングな映像をニュースを通じて見ています。それを見ていったい何の価値があるのか、ということを一貫して書かれています。ある地域で災害が起きたのならば、それらの映像を繰り返し見るのではなく、募金しなさい、ということものっています。
では、どういう情報が重要なのかと言えば、そういった細切れのゴミのようなニュースではなく、よく考えて、調べて作られたものを見なさいということを言われています。
もちろん、ドキュメンタリー番組にしても、本にしてもいまいちなものもたくさんあります。ただ、新しさだけに注力をそそがれたニュースを読むよりは価値があるということです。
「広い知識」よりも「深い知識」を身につける
今日、あなたが職業的な成功をおさめられるのはーーほんの少数の例外はあるがーー、特定の専門分野をきわめたときだけだ。その分野におけるあなたの知識が深ければ深いほど、能力が高ければ高いほど、あなたの成功の度合いも大きくなる。
その分野の世界的な第一人者にならなければ、勝者の仲間入りはできない。拙著「Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法」で記した「独り勝ち」現象[グローバリゼーションの影響で隔離されていた市場がひとつになり、少数の勝者のもとだけに市場の利益のほぼすべてが集まる現象]の影響である。
つまりあなたの選択肢は、「専門バカ」になるか「敗者」になるかの二択しかないということだ。
出典 News Diet P.077
この視点はとても大切なことです。学生時代においては、どの科目もまんべんなくできることを求められてきました。そして、好き嫌いをしてはいけないというような言葉もあります。
でも、それは全て間違った、20世紀の遺物と言えるでしょう。ところが残念ながら、日本の成績のシステムなどは今でも、「好き嫌いせずに」ということを前提に作られています。中学生の内申点が主要5科目と、技能4科目の9科目の合計しているところからいかにおかしなことをやっているかということがわかります。
学生時代は仕方ないですが、そこの呪縛からは離れなければならないということです。何でも知っているということは、何も知らないと言うことと同じです。何十年も前からエンジニアはT字型になれと言われました。ある分野についてはとても深く、詳しくしっているけど、ただ、それだけでなく、広く浅くもということです。それで、T字型ということです。
情報量が多いほど、人は「自信過剰」になる
アメリカ建国の父のひとりとされるトーマス・ジェファーソンは、一八〇〇年にすでにそのことを見抜いていた。「何も読まない者は、新聞しか読まない者よりも教養が高い」。事実は思考を妨げる。脳が事実の中で溺れてしまうのだ。
ニュースを消費すると、自分は世界を理解しているという錯覚に飲み込まれる。そしてそう錯覚すると、人は「自信過剰」に陥りやすくなる。
出典 News Diet P.096
インターネットやテレビから流れてくるニュースはまさに垂れ流しです。人の扱える情報量をすぐに超えるくらいの情報を毎日垂れ流します。そんなものを受けていると、今度は、「自信過剰」という状況になると書かれています。
「自信過剰」ほど恐ろしいものはありません。「自信過剰」になると、謙虚さを失います。そのため、誰かが何かを忠告してくれてもそのことに耳を傾けなくなります。「自信過剰」にいたった「情報」が自分の仕事などの分野において価値ある情報であるのならばそれもわかります。
ところがなんの意味のない「ニュース」を各サイトから集めたところで、そこに価値はないし、自信を逆につけてはならない部分です。そういう面からも垂れ流しのニュースをつけておくことや、インターネットで、ザッピングすることには悪影響しかありません。
実際、そういったインターネットニュースは意図があって流されていたりします。基本的に恐怖心をあおることで、なんらかの物やサービスを買わせようということが多くあります。
テレビのニュースにしても、視聴者を確保するために、意図を持って流されています。
それらを見ることで、どれだけの時間を失い、そして判断を失っているのかを知る必要があります。
こんな感じで、いかにニュースが害悪かということが書かれています。
また、いきなりなくすのが厳しいならば、一紙だけウイークリーのニュースをとったらどうか、ということなども書かれています。
ニュースをもともと見ない人であれば、この本は必要ないと思います。
どの情報に価値があるのか、意識して生きていくことが必要だということです。
さまざまな角度でニュースの無意味さについて書かれています。
自分を見失わないためのとても大事な視点ですので、一度本を読んでいただければと思います。
目次
日本語版に寄せて
- 私がニュースを断つまで その①
- 私がニュースを断つまで その②
- ニュースは、砂糖が体に及ぼす影響と同じような影響を精神に及ぼす
- 徹底的にニュースを断つ
- 「三〇日計画」を立てよう
- おだやかなニュースダイエットのすすめ
- ニュースはあなたとは「無関係」である その①
- ニュースはあなたとは「無関係」である その②(思考実験)
- ニュースは「能力の輪」の外にある
- ニュースは「リスク」を誤って評価する
- ニュースは「時間の無駄」である
- ニュースは「理解」を妨げる
- ニュースは「体に毒」である
- ニュースは「思い違い」を強化する
- ニュースは「後知恵バイアス」を強化する
- ニュースは「利用可能性バイアス」を強化する
- ニュースは「意見の火山」を活性化させる
- ニュースは「思考」を妨げる
- ニュースは私たち脳を「変化」させる
- ニュースは「虚偽の名声」をつくる
- ニュースは私たちを実際よりも「卑小な存在」に感じさせる
- ニュースは私たちを「受け身」にする
- ニュースは「ジャーナリスト」によって書かれている
- ニュースは私たちを「操作」する
- ニュースは「創造力」を破壊する
- ニュースは「馬鹿げた話」を奨励するーースタージョンの法則
- ニュースは私たちに「偽りの同情」を覚えさせる
- ニュースは「テロリズム」を助長する
- ニュースは「心の平穏」を破壊する
- まだ確信が持てない人へ
- 民主主義への影響 その①
- 民主主義への影響 その②
- 「ニュースランチ」のすすめ
- ニュースの未来
- ニュースを断つ感覚
- おわりに、そして謝辞
ドベリの免責事項
付録
訳者あとがき