昔からある組織などだと、どうしても、「あきらめモード」がはびこります。
社員は、「上司に言っても無駄」という考えにおちいります。
確かにそれはそうなのですが、それでも言い続けることが大切だということとその理由についてお伝えします。
誰しも初めは熱意を持っているけど(多かれ少なかれ)
新入社員でも、転職者でも、初めはその組織に期待もするし、一生懸命に働こうと思っていることが多いです。
しかし、2、3年、早い人によっては、1年足らずで、「あきらめモード」になる人もいます。
新卒はもう少し持つかもしれませんが、転職者の場合の多くは、1年足らずであきらめモードになるかもしれません。
組織をこれまでも見てきたので、少しいれば、そこの雰囲気だとかから、判断できるので判断が早いわけです。
ベンチャー企業などだと、全体的にモチベーションが高いので、そういうことにはなりにくいのですが(安定するまでは)、昔からある組織などになるとどうしても、「これはこういうものだ」と社員全体的にそういうムードが出てしまいがちです。
特に現場の人たちが、そういう考えにおちいってしまうものです。
転職者の判断や、長くいる人が考える、「言っても無駄」というのはある意味正しいです。
何回言っても変わらないのが普通だからです。
上司や役員もわかってはいるけど、変えられないと思い込んでいる、もしくは変えない方がいいと思っていることが多いです。
上司も役員も、所詮は、「人」です。「変化を好まない」人が大半だからです。
そうすると、新入社員や、転職者、昔からいる社員が言っていることが、「本当に大切で変えた方がいいこと」も聞きません。
自分の判断が正しいと思い込んでいることもありますが、本質的に人は物事を変えたくない、という本能が働くからです。
また、「何かを変える」ということは恐ろしくパワーが必要です。
「変えた方がいい」と言うのは簡単なことですが、実現するにはパワーが必要なのです。
そういうことを踏まえて、上司や役員は変えようとしないわけです。
それよりも、「目の前のことをやれ」と。
言っても変わらない、それでも言い続けることの意味
言っても変わらないのは当たり前、だったら言わなくていい、と思ったら組織は低迷していきます。
低迷して変わるのは特にボーナスですね。数値に反映しやすいのは。
まず、意見を言う側にも覚悟が必要です。
「言うからには、自分でやる」
「10回、20回で変わるなんて思えない。100回でも200回でも、さらに良い方法はないか考え、調べて、提案をし続ける、そして自分でも小さくできることは実践して、テストを行う」
この考えを持っていると、もしかしたら、100回のうち1回くらいは意見を取り入れてくれるかもしれません。
そして、その過程で得られたことは大きいです。
また、その「こうした方がいい」ということも、より洗練されていきます。
同じことを何度も言うのではなく、より深く調べて、実践して、組織にあった形で提案を続けるのです。
「全社員が経営者思考で」という企業がありますが、そういうところにもつながります。
そして、経営者も、何度も、「自分たちの組織はこういう方向性を目指す」ということを言うことです。
その方向性を話さないと、社員はわかりません。
言わなくても伝わるなんていうのは、エスパー(超能力者)でもない限り無理です。
経営者も何度も言う、社員も何度でも言う、お互いに話し合って、より良い方向性を見つけていくものです。
経営者が社員の前で、何度も意見を言わないというのは組織としては低迷する理由の一つです。
その組織は成長しているかどうか、停滞している、もしくは低迷しているのか
この「あきらめモード」がまんえんしている組織の多くが、「停滞」もしくは「衰退」「低迷」しています。
部下や社員の話を聞くだけでなく、実際に実現している会社は「成長」するからです。
経営者であれば、自社が停滞しているか、衰退しているかはわかるはずです。
社員に教えていない部分の数字を知っていますからね。
もっとも、カンのいい社員はもっと早く知っているものです。
数字に現れるまでもなく、現場は現状を肌感覚で感じている人もいるからです。
経営者が難しいのは、「言っていることは正しいのだけど、やれるだけの人もいない」本音です。
そう言う場合は、やはりその「言った人」に権限を与えてやらせてみるのです。
もちろん、権限だけ与えても組織は動きません。
それに対して、人をつけてあげる必要があります。
人をつけるといっても、専任は難しいですから、初めは兼任かもしれません。
組織的に変えることであれば、そのように組織をまたいだ形で変えていく方法があります。
ただ、そう言う場合も、目的と期間を決めた方がいいです。
そうしないと、年数が経つとダラダラとしてしまうからです。
もしくは、1年ごとにテーマを決めて、それを実現していくという方法もあります。
「意見」と「不平不満」の違い
もちろん、何年も意見を提案し続けることができる社員は1割もいないでしょう。
なぜなら、その提案をすることにもパワーが必要です。
そして、その社員自体が、常に勉強をし続けていないと、意見も言えないからです。
意見と不平不満は違います。
意見には責任と、実行する覚悟が問われます。
組織に意見はいうけど、自分は何もしないのであれば、それは意見ではなく、ただの「不平不満」です。
不平不満を吸い上げることも必要ですが、その不平不満を言う人にそれを改善する覚悟がないのであれば、正直聞く必要もない話です。
ただ、そこに組織を変えるヒントがある場合もありますので、むげにしなくてもいいですが、何度も聞かなくてもいいです。
ただ、相手が言うだけでなく、自分でやるという覚悟もある人であれば意味のある意見である場合が多いです。
そもそも、意見を上司に言ってくる人というのは、上司としては面倒な部分はありますが、貴重な人材ではあります。
8割は、「はいはい」といいながら、言うことを聞いているフリをするだけなわけですから。
意見を吸い上げることは大切なので、聞きすぎてもいけないのですが、多くの場合、そういうことにはなりません。上司や役員の多くは、そもそも、ほぼ話を聞くことがない、というスタイルが多いですので。
聞きすぎてもまずい、ということについては、またの機会にお話します。
社員が、上司や役員の理解を超えた提案をしている場合もあります。
それだと、聞いても理解をできないケースもあります。
それは、組織にとってはまだ早い提案、ということです。
それが理解できず、組織が低迷したまま、であれば、その社員はステージをいつか変えた方がいいのかもしれません。
その低迷し、衰退していく企業もまた、一つの寿命なわけです。