SDGs 三科公孝 書評

書評「儲かるSDGs 三科公孝」【全部を目指したら一つも成し遂げられなくなる】

次の点についてお伝えします。

・この本の気になった点を3つご紹介

私自身、ビジネス書などを年間少なくとも100冊くらいは毎年読んでおります。
そのため、本棚には2000冊以上あります。

この本を書かれた三科さんは、地方創生などを行うコンサルタントです。
そのため、どのようにSDGsに取り組めば良いのかを具体的にわかりやすく解説されています。

SDGs(エスディージーズ)とは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。
持続可能でよりよい世界を目指しています。
17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

今までにも、「良いこと」を目指した目標はありましたが、なかなか各国の足並みがそろわないということがありました。
SDGsはどの国も「支持しましょう」といえる題目になっていることも特徴です。
参考 イマココラボ SDGsとは

教科書的なSDGsの本もありますが、この本は実践編という感じです。

書評「儲かるSDGs 三科公孝」【全部を目指したら一つも成し遂げられなくなる】

儲かるSDGs

著者 三科公孝
出版 クロスメディアパブリッシング

「一つだけでいい!」(本文より)

2020年度から、地方創生の第2期、5年スパンの「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が始まっています。そこでは「地方創生SDGs推進」が掲げられ、全自治体が地方創生にSDGsを組み込むことが求められています。
この要請を受けて、多くの自治体において「すべての目標に取り組むケース」が頻出すると見ています。残念ながら、リソースや向きや不向きを考えず、全部一気にやろうとする自治体は、5年後確実に成果が出ずに終わりかねません。
ランチェスターの法則を思い出してみてください。十分なリソースがない組織が生き残り、成長するための最善の戦略、それは「一点突破」です。
「1つだけでいい!」ーこれは、強くお伝えしたいところです。

出典 儲かるSDGs P.110

SDGsの目標は17あります。1番目は「貧困をなくそう」から始まり、17番目は「パートナーシップで目標を達成しよう」まであります。
その詳細ははぶきますが、各分野、さまざまな目標があります。
そのため、その17の目標全てを目指すのは殆ど無理に思えるものです。

無理だというのは、一自治体や、一企業、一個人が行う場合の話であり、全体として達成しようとしていくことができれば良いわけです。

誰一人として取り残さない。しかし、一人ひとりは、ただ一隅を照らせばよい。
そうすることで、「すべての人が照らされる社会」をつくることもできるのだと、私は信じています。

出典 儲かるSDGs P.112

SDGsというと英語の頭文字でとっつきにくい感じもします。
ただ、内容は難解なものではありません。
そして、上に述べられていることは、実現するための大事な心構えです。

正の連鎖と負の連鎖

水がなくなることで、貧困や戦争にまで連鎖するとわかると、逆にどんなに小さなものでも、みなさんにできるSDGs的な取り組みが、世界平和にすらつながると感じていただけるのではないでしょうか。

出典 儲かるSDGs P.170

この章では、アフリカのチャド湖の例があげられています。チャド湖は、1963年から2001年までに面積の95%が失われたと書かれています。この本には載っていませんが、それ以降に少し回復したりしています。チャド湖では漁業もおこなわれています。

本文では、こういった湖の水がなくなってくると、一例として次のような負の連鎖を言われています。

水がなくなる→子供たちが駆り出されれる→教育機会が奪われる→成人した際に就職機会が減る→格差が生まれる→紛争

もちろん、紛争などにつながるのはこういった単純なことだけではないにしても、要因としてはなりえます。
生活するために、兵士になる人もいるわけです。

風が吹けば桶屋が儲かるではありませんが、こういうことも十分ありえると。
なので、水といった一つの「6.安全な水とトイレを世界中に」という目標をかなえようとするだけでも、紛争を防止することになりえるということです。

お金をかけないから続けられる

SDGs的観点で観光振興策を考える場合、大切なポイントは「お金をかけない」ことです。
単純な話ですが、どれだけ効果的でも、お金がなくなると継続できなくなってしまうため、初期費用だけでなく、メンテナンス費用が多くかかる施策もできるだけ避ける必要があります。
観光でよくあるのが、ほかの産業と比べて「一過性のイベント」として考えられがちだという点です。

出典 儲かるSDGs P.227

本文の中にも、成果がわかりやすいイベント型の施策を求める人も多いですが、「持続可能性」という点を考えないとならないと書かれています。

今でも国の予算を使った施策が多くあります。当然、お金はスタートアップとしては必要なことはもちろんあります。
ただ、イベント型はもともと持続することを目的としていませんので、当然後には何も残りません。

もしかすると、自治体などによっては何も残らないことを望んでいる節もあるかもしれません。
後に残ると、当然、仕事も残るわけです。

ただ、SDGsという視点は、よりよい社会を、世界を作り続けることが目標なわけです。
予算がとれた、仕事がとれた、イベントやって終わり。

こうった短期的な使い方だけにしてはならないということです。

企業や自治体が取り組むための具体的な施策が多く載っていますので、もしよろしければ読んでみてください。

目次

  • 序章 SDGsはこれだけ「儲かる」「人が集まる」
  • 第1章 取り組むのはいま!その具体的メリット
  • 第2章 「マーケティング」の視点で読み解くSDGsのキモ
  • 第3章 「人を集める」ための実践ノウハウ
  • 第4章 「危機を乗り越える」ための実践ノウハウ
  • 第5章 どんな会社・組織でもできる、SDGs「超」活用事例
  • 第6章 持続可能な組織へ

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