次の点についてお伝えします。
・この本の気になった点を3つご紹介
私自身、ビジネス書などを年間少なくとも100冊くらいは毎年読んでおります。
そのため、本棚には2000冊以上あります。
5Gの時代が来ると言われています。
実際、iPhone12から対応するようになりました。
ただ、そうは言っても現時点(2021/1)ではその良さを感じている人もいないのではないでしょうか。
せいぜい、ネットや雑誌の記事で目にすることがある程度だと思います。
3Gから4Gになるときも、アーリーアダプターと呼ばれる、新しいもの好きな人達以外はいつの間にか変わっていた、で、何がかわったんだっけ、という感じだと思います。
5Gについては自分で記事を書きたくなってきましたが、本題に戻ります。
このクロサカさんの本はどの時期に、どんなサービスが提供されていくだろう、ということをわかりやすく書かれています。5Gは通信速度が速いしかみんなが知らない中、どのように使われるかなども知っておくことはビジネスマンとしても必要な知識だと思います。
1,2分で読める記事ですので目を通していただければと思います。
最後に目次の一覧を載せております。
書評「5Gでビジネスはどう変わるのか クロサカタツヤ」【未来がわかりやすい!】
著者 クロサカタツヤ
出版 日経BP
2019年11月18日第1版1刷発行
物事の普及にはサイクルがある
最初の「黎明期(れいめいき)+ピーク期」は2017〜2019年です。4Gが成熟し、多くの人がスマートフォンに飽き始めたこともあり、新しい何かへの漠然とした期待が、実態を伴わずに膨らんでいると言えます。
次の「幻滅期」は2020〜2022年ごろです。日本で5Gの商用化がスタートするものの、いきなり4Gから5Gへ移行するわけでもなく、5Gが使えるエリアもまだわずか。開始当初に出てくる5G対応スマートフォンの値段も相当高くなるはずなので、「5Gは期待外れ」という印象が形成されると思われます。
続く「啓蒙活動期」は、2023〜2025年ごろになります。5Gの能力をフルに発揮するインフラが少しずつ普及していき、ユーザーも5Gの持つ本当の実力を認識し始めるはずです。
最後の「安定期」は2026年以降です。この時期になると、人々は5Gサービスを自然なものとして受け入れるようになり、4Gサービスの陳腐化が進むでしょう。そして5Gサービスが当たり前になると、ユーザーはより高品質なインフラを求めるようになり、安定期の終わりごろには6Gを求める声が出始める……。概ねこんな展開になると思われます。
出典 5Gでどうビジネスは変わるのか P.064
これは、企業のリサーチやアドバイザーを行っているガートナー社の「ハイプ・サイクル」をクロサカさんがわかりやすく説明してくれたものです。多くの技術は、時期により期待度の波があるが、その波にはパターンがあるということです。
これは5Gに限らず、AIやAR,IoTなど多くのものがそれぞれの時期を経るでしょう、という話です。
もちろん、その○○期に達する年数は一定ではありませんので、それぞれ補正する必要があります。
このハイプ・サイクルというのは物事の分析に非常に有効な手段だと言えます。
5Gがこのような周期でいくとするのならば、ある程度の対応準備もしやすくなってきます。
飲食店などの事業もこのハイプ・サイクルを描きそうです。
できるよ、ということで期待されて、あれっとなって、再び盛り上がって、安定していく……。
自社インフラの所有からシェアリングへ
このマイクロセル(注 小型の基地局)のアプローチで、通信事業者がこれまでのように競争して設備投資を進めると、需要の多いエリアでは通信事業者による熾烈(しれつ)な「場所取り合戦」が起き、一方で需要の少ないエリアには見向きもしない、というような不均衡が生じるかもしれません。(中略)
そのため5G時代には、ある通信事業者が設置した基地局を、他の通信事業者が乗り入れて使う設備共用という考え方が期待されています。それなら、各事業者は設備投資効率を高めることができ、エリア拡大も期待されるからです。
出典 5Gでどうビジネスは変わるのか P.104
いつも疑問に思っていたのですが、携帯電話の基地局は基本的にドコモなり、auなりソフトバンクなりがありますよね。なぜ、わざわざ同じものを提供するのに、それぞれの会社が出資して場所取り合戦をしているのだろうと。
テレビやラジオの放送業界は古いと思われていますが、ある意味その点では進んでいると言えます。
NHK用の基地局、テレビ東京用の基地局ってないじゃないですか。
東京タワーなり、スカイツリーなどから電波を出すわけですね。
名古屋でも札幌でもいくとわかりますが、主要都市にはタワーがたっていますね。
そのタワーは電波を出す共用設備です。
(ここでは衛星放送を使った方が効率が良いとかのお話はおいておきましょう)
はじめからシェアされているわけです。
昔はソフトバンクはつながりにくいとか、ドコモはよくつながるなんて話もありますが、それはやがて古い話になります。各社、共用設備でサービスによる違いを提供していく形になるのでしょう。
ドコモの基地局の隣にソフトバンクの基地局とか、SDGs的な観点からしても無駄です。
MaaS:交通のサービス化に絡むプレーヤーは多い
5Gの時代に期待されるモビリティとの連携は、コミュニティ単位での人やモノの移動の最適化です。特に昨今MaaS(Mobility As A Service:モビリティのサービス化)と呼ばれるコンセプトが注目を集めていますが、汎用車両による移動の価値向上が、5Gによって具体化されていくということです。
出典 5Gでどうビジネスは変わるのか P.180
5GとMaaSは一見、つながらなそうですが、やはりここでも関わってきます。
私たちが持つスマホにだけ関わる話ではありません。
これからますます自動運転技術が進むことは予想されます。今の自動運転技術は、いわゆるスマートドライバーを目指しています。つまり、賢いドライバーです。
賢いドライバーというのは、外との通信もある程度はするけれども基本的には自律型のロボットのように、カメラやレーダーなどから入ってくる情報をもとに最適な運転をするという仕組みです。
でも、これだとどんなに技術が進んでも事故は起こります。
なぜなら、「スマート(賢い)」でないドライバーや、予期せぬ歩行者の飛び出しなどが起こり得るからです。
これからは、お互いに車同士、歩行者と車などが会話(通信)するという形になります。
道路や信号との会話(通信)もですね。(いま、こっちは時速60キロで、止まるまでに30mかかるから、そっちで止まってもらえる?みたいな。)
このときに使われる技術が5G,6Gということになります。
ほんの一例だけを書きましたが5Gというのはただ、通信速度が速くなるだけと言えば、そうかもしれませんが、通信速度が速くなることでできることがいろいろあるということです。
コンピューターにしてもある意味、30年前と何が変わったかと言えば、速くなった、という一言です。もちろん、使える画面のサイズが大きくなっただとか、色が増えたとかありますが、結局、速くなったからできるようになったものです。
速さは力だ、と言えるかもしれません。
このクロサカさんの本は、これ以外にも多岐にわたる応用例をわかりやすく説明してくれています。
5Gの技術書にはない切り口ですので、もしよろしければ目を通していただければと思います。
目次
はじめに
1章
5Gがもたらす本当のインパクト
- 5Gの本質は超高速通信だけにあらず
- 4Gと5Gは似て非なるもの
- 事業開発は4G時代より難しくなる
- 事業企画の鍵Ⅰ 新たなマネタイズプラットホーム
- 事業企画の鍵Ⅱ ダイレクトなブロードバンド
- 事業企画の鍵Ⅲ フルコネクテッド
- 「窓」がなくなり、サービスも変わる
- ユーザーの固定概念から変えよう
- 5G市場の本命は「非スマートフォン」
- 未来予想:5Gは人の生死も分ける
2章
「普及タイムライン」で読み解く事業開発の最適期
- 5Gが完全に普及するまでの四段階
- 【黎明期+ピーク期】2017〜2019年 準備が進む中「ゲーム&動画」に変化の兆し
- 【幻滅期】2020〜2022年 モバイル利用より先に「屋内サービス」に変化
- 【啓蒙活動期】2023〜2025年 少子高齢化社会の課題解決インフラに成長
- 【安定期】2026〜2029年 社会全体をつなぐ「フルコネクテッド」が実現
- 5G時代の通信キャリアに迫る三つの変化
- 自社インフラの所有からシェアリングへ
- トラストアンカーからトラストマネージャーへ
- 自社囲い込みのサービスからレベニューシェアへ
3章
分野別「5G✖️新事業」の有望株
- ゲーム配信:ストリーミング&サブスクで新境地に
- 動画配信:「高精細」と「バラ売り」が新たな商機に
- ライブ中継:ファン心理に応えるインタラクティブ・ライブが台頭
- テレビの再送信:本格的な「IP同時再送信」が始まる
- ゲーミフィケーション:各種データを駆使して買い物がエンタメ化
- スマートシティ:5Gで本当の「公共活動の最適化」が進む
- スマートハウス:介護のニーズも汲んだ「安心センサー」に進化
- スマートファクトリー:「チョコ停・ドカ停」を減らす救世主に
- スマートサプライチェーン:輸送の最適化&ブランド力の向上に寄与
- MaaS:交通のサービス化に絡むプレーヤーは多い
- 新しい概念となる「ローカル5G」とは何か
4章
5Gビジネスを成功させる事業開発のコツ
- 前期の最重要課題は「幻滅期」の過ごし方
- 啓蒙活動期以降は社会の変化への対応が大事
- 事業開発の必要条件は「カスタマイズ指向」
- 5G時代のビジネスモデルとプライバシー
- 事業開発の重点Ⅰ 体験設計
- 事業開発の重点Ⅱ 行動科学
- 事業開発の重点Ⅲ 信頼構築
- 顧客とのエンゲージメントが変わる
- 課金は「収益還元法」が主流に?
- B2B2Xの関係性
- 垣根を越えることが最大の価値
- 5Gは待っていても来ない
おわりに