次の点についてお伝えします。
・この本の要点
私自身、ビジネス書などを年間少なくとも100冊くらいは毎年読んでおります。
そのため、本棚には2000冊以上あります。
田中泰延さんは元電通社員で24年間務めたのち、現在はフリーで仕事をされています。
何より、わかりやすい文章で、ネタにクスっと笑ってしまうこともある文章術の本です。
インターネット上で文章を書く際に言われている「ターゲットを決める」「記事の網羅性」といったことがあります。
そもそも、人に読まれる文章って、そういう表面的なことではないと言われています。
恐らく、この田中さんの言われていることを実践できれば、検索順位なども十分あがると思います。
なぜならば、記事の価値の上げ方が書いてあるからです。
2019/9の発売ですが、ずいぶんとヒットしたようで、今でも本屋の目立つ位置においてあったりします。
この記事は2,3分で読めると思いますので、もしよろしければ目を通していただければと思います。
書評「読みたいことを、書けばいい。田中泰延」【記事の価値の上げ方が面白く詰まっている】
~人生が変わるシンプルな文章術~
著者 田中泰延
出版 ダイヤモンド社
この本の要点
- その1 文を書いて生計を立てたいという方向自体が間違っている
- その2 自分が面白いと思う文章は、まだ他の人が書いていないことを書くこと
- その3 物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛(本文から引用)
その1 文を書いて生計を立てたいという方向自体が間違っている
文章の講義に聞きにくる人達に対し(この本を読む人に対しても)、次のことを言われています。
出発点からおかしいのだ。偉いと思われたい。おかねが欲しい。成功したい。目的意識があることは結構だが、その考え方で書くと、結局、人に読んでもらえない文章ができあがってしまう。
自分が読みたいと思わない文章を誰が読みたいと思うのですか、ということです。
どんな商売の本にしても、自分が欲しくないものを売ることができるか、と書かれています。
当然のことです。
モノならば自分が欲しいと思うもの、メリットがあるものを売らなければならないと知っているはずです。
ところが、ネット上の記事になると、アフィリエイトなどのため、つまり収益のために読みたくもないことを書いたりしてしまっていませんかということです。
田中さんは、文章を書くことの本当の楽しさと、ちょっとのめんどうくささを伝えたいと序章に書かれていました。
まずは、自分のために書きましょう、という視点が他の文章術の本と異なる点です。
ネットで収益をあげるためには、自分よがりの文はダメだといろいろなところで言われています。
そして、ターゲットを明確にして書け、というのが一般的な指導です。
それも本文中には否定してあります。
では、どうすればよいのか、ということも序章以降に書かれています。
その2 自分が面白いと思う文章は、まだ他の人が書いていないことを書くこと
「自分が読んでおもしろい文章」とは、「まだだれも読んでいない文章を自分で作る」ということである。
(中略)
「わたしが言いたいことを書いている人がいない。じゃあ、自分が書くしかない」
読み手として読みたいものを書くというのは、ここが出発点なのだ。
ここに文章を書く本質があると思います。
文章というのは、なんらかの情報です。
既にインターネット上などに、いくつもあがっているものをなぜ、いまさらまた書く必要があるのかと。
SEO対策をして、順位を上げてということ以前の部分です。
長期的にみるとSEOで読まれる文章になるというのは、そういうオリジナリティが評価されていく部分もあるのだと思います。
もちろん、検索キーワードのボリュームや何が調べられているのかなどの分析は当然必要です。
調べることは、愛することだ。自分の感動を探り、根拠を明らかにし、感動に根を張り、枝を生やすために、調べる。
愛と敬意。これが文章の中心にあれば、あなたが書くものには意味がある。
人が読むからこそ、人の気持ちというものを中心において書くことが必要だと言われているように思います。
その3 物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛(本文から引用)
書くという行為において最も重要なのはファクトである。ライターの仕事はまず「調べる」ことから始める。そして調べた9割を棄て、残った1割を書いた中の1割にやっと「筆者はこう思う」と書く。
(中略)
調べたことを並べれば、読む人が主役になれる。
調べもせずに「文章とは自分の表現をする場だ」と思っている人は、ライターというフィールドでは仕事をすることができない。
なかなか強烈なことを書かれているようにも思いますが、事実なのだと思います。
書いている人が超有名人なのであれば、私はこう思った、ということも記事になります。
ただ、どこの誰とも知らない人がこう思おうと、どう思おうとなんの関係もないですよねと。
「読みたいことを、書けばいい。」を読んだ感想
この本のすごい点は、当たり前のことだけど大事なことを徹底的に面白おかしく書いているという点です。
そして、一番大事なことで、田中さんも秘伝中の秘伝と書かれていたことがあります。
それは、「図書館を利用する」と。
当たり前のことのようでいて、ネットで記事を書こうという人のほとんどの人がしていないことだと思います。
私も本屋で本を買いますが、図書館は何年も行っていません。
そのプロとしての図書館の利用の仕方もとても分かりやすく書いてあります。
文章術の本で、これらについて特に詳しく書かれている本は他になかなかないのではないでしょうか。
ここには載せませんでしたが、就職活動での表現の仕方などについてなども書かれています。
文章術ということで読まなくても、普通に読んで面白い本でした。
1年前に買った本ですが、面白いので何度も読んでしまいます。それで文章の技術があがるのならば、一石二鳥です。
目次
- 序章 なんのために書いたか
- 第一章 なにを書くのか ~ブログやSNSで書いているあなたへ~
- 第二章 だれに書くのか ~「読者を想定」しているあなたへ~
- 第三章 どう書くのか ~「つまらない人間」のあなたへ~
- 第四章 なぜ書くのか ~生き方を変えたいあなたへ~