次の点についてお伝えします。
・この本を読んで気になった点や気づいた点を3つご紹介
私自身、ビジネス書、歴史書、哲学書、技術系書籍などを年間少なくとも100冊くらいは購入して読んでおります。
ここ最近、書評にもアップしておりますが、昭和初期の精神科医、森田正馬博士の教えをわかりやすくまとめた本といったところです。
イラストも多く、生きることに悩んでいる人が少しでも自分の参考にできるようなことが端的に書いてあります。
この記事は、2,3分で読めますので読んでいただき、何か一つでも参考になることがあれば幸いです。
悩みを解決するのに、原因は重要視しない
西洋生まれの精神療法は、不安を生み出している原因を知り、それを意識することを重視します。(〜略〜)
森田療法では、悩みの原因探しは重要視されません。その根底には、不安をもつのは自然なことであり、自然に反したとき、悩み深まっていくととらえる東洋的な考え方があります。(〜略)原因の探究にとらわれず、緊張や不安、失敗などの不快な感情や体験を自然なものとして受け入れ、そのまま踏み出し、日々の生活のなかでできることに取り組む。
P.16,17より引用
西洋生まれの精神医学は、その「不安」を取り除けば、悩みは解決するという考え方です。
それに対し、森田療法は、悩みを取り除くのではなく、「認識し共存」しバランスをとっていくという考え方です。
その前提には、人にはもともと自分で回復できる力があるということがあります。
西洋医学になると、「悪いところは切る」というスタンスなのだと思います。
欧米人の考え方と、東洋人の考え方はそもそも異なる傾向があるのかもしれません。
本屋に行けば、欧米発祥の「自己啓発本」が数多く出ています。
「自己啓発」しても、東洋人的には多分、長続きしない人が多いと思います。
それより、「行動を変える」ことの方が、「自己啓発する」よりも東洋人的にはしっくりくるのかもしれません。
悪循環に陥ると抜け出しにくくなる
ひとたび悪循環に陥ると、人は不安や恐怖からなかなか抜け出せなくなっていきます。
だからこそ必要なのは、悩みを拡大する悪循環を作りだしているのは、ほかならぬ自分ではないかふり返ることです。
つらいことばかりみていないか、ネガティブな考え方をしていないか、逃げ回っていないか、身近な人との関係はどうか、改めて見直すことが必要です。P.46より引用
ここで大事なことは、「見直す」であって、「自覚する」ことが大事です。
森田博士の本にも繰り返し出てくるのですが、「こう考えてしまうのはよくない、だから変えよう」ではありません。
「自分はそう考えているんだな」ということを自覚することが大切です。
こうしたときに、有効なのは、「自分日記」を書くことです。
私も普段から行っており、この本の中に載ってもいたのですが、私は毎日パソコンに向かって、自分の思っていることを書き出しています。
スマホでもいいと思います。
特に、iphoneだと、メモ帳を共有できるので、Macで入力したものでも、iphoneで入力したものでも両方で共有できます。
別に、なんらかのクラウドサービスを使えば、どんなアプリでも、そういったことはできるかと思います。(One DriveやDropboxなど)
自分で自分を振り返る時に、「メモに書き出す」ことが大切です。
そうしないと、同じところで、ぐるぐる回ってしまいます。
この方法は、何かを解決する時にも使える方法です。頭の中で考えると、人の頭の容量は決まっていますから、同じところで回ります。
しかし、PCなどで文章を入力していくと、戻らずに進めることができます。
人とのかかわりは流動的なものでいい
職場や家庭など、固定した人間関係がうまくいかなくなっているときは、どうにかしようとがんばればがんばるほど、緊張が高まることもあります。
そのような場合、こじれた関係は棚上げにして、新たに別のネットワークをつくっていくうちに悩みの種になっていた関係性に変化が生じることもあります。そのための一歩を踏み出すには、自分がいいなと思うこと、これならできそうという感じに従うことが大切です。P.83より引用
何かの人間関係で悩んでいるときというのは、大半の場合、固定された人間関係によって引き起こされます。
そんな新しい関係性など作れない、と思うかもしれませんが、なんらかの自分の趣味などで、普段合わない人と会える関係を作ることが大切です。
1ヶ月に1回でも、慣れてきたら週に1回でも、なんらかのコミュニティに参加をするようにしてみます。
そうすると、何も解決しないように見えることが(自分と普段の自分の家庭や職場の話なので)、変化することは起こりえます。
本当のところは、どんな人間関係であっても、「自分」が作りだしているものだからです。
「相手が悪い」という意識を持っている「自分」に原因があります。
場合によっては、その縁は切った方がいいものかもしれませんし、自分が気づいていないだけで、相手の何かを増長させているのかもしれません。どちらにしても、「自分」がその固定されたコミュニティから離れる(気持ちの上で)時間を持つことが大切です。
まとめ
森田正馬博士の本は、対話調の本も多く、「どこがキーなのか」わかりにくいことがあります。
こういった、イラストの入った、わかりやすくまとめた本を読むと、逆に「森田療法」をより理解しやすくなるということもあると思います。
この本自体は森田療法を理解するための本ではなく、「心」で悩んでいる人が解決の一助を見つけられるように書かれている本です。
わかりやすい本ですので、もしよろしければ、一度手にとってみることをお勧めします。