次の点についてお伝えします。
・この本を読んで気になった点や気づいた点を3つご紹介
私自身、ビジネス書、歴史書、哲学書、技術系書籍などを年間少なくとも100冊くらいは購入して読んでおります。
先日も別の本で書きましたが、精神科医で、森田療法で有名な、森田正馬博士が書いた本です。
昭和初期に書かれた本かと思います。
この当時は、「変わり者」というふうに捉えられていたようにも見受けられますが、「人」の本質というのは時代によっても変わらず、そして、コツも変わらないということを知ることができます。
みんな、「人」で苦労するわけです。その「人」とは自分も他人も含みます。
自分の気持ちの持ちようや、「神経質」な人をどのように理解するかがわかります。
「神経質」な人、というのは現代において、非常に多い気がします。
この記事は、2,3分で読めますので読んでいただき、何か一つでも参考になることがあれば幸いです。
私の休学によって、家庭の空気は険悪になり暗鬱(あんうつ)になった P.30
この話は水谷さんという、森田博士の弟子?のような形で、自分の体験について書かれています。
話の内容としては、この人が高校生の時、非常に勉学の面で優秀だった人なのですが、自分のことを「神経衰弱」だと思い込んでしまっています。
医者にも、嘘をついて診断書を書いてもらい、1年間の休学をしました。
しかし、休学をすることで、「苦悩の発作が1日に数回もおそうようになり」さらに症状が悪化していくのです。
その理由として、
私の表面的な心はともかく、深層には、人間として向上したい、社会人として発展したい、という欲望が燃えさかっていた。その欲望にしたがって努力しているときにのみ、心の平安は得られるものである。(〜略〜)ところが、私のやっていることといえば、休学して郷里に帰り、何もせずにブラブラしているということで、向上とはおよそ反対の退化の方向へ進んでいたわけである。
P.31
その後、森田博士のところに入院させてもらうわけですが、森田博士から、「入試はどうするのか」と聞かれ、水谷さんは「治ってから、1年後に受ける」と答え、森田博士は、「今年受けなさい。受けないなら、入院を認めない」と答えたそうです。
その後、紆余曲折があり、治っていくのですが、基本は「心の病人だから特別扱いしないといけない」ということ自体が誤っている、という方針です。
もちろん、本当の病気の意味で特別扱いをしなければならない人もいるにはいますが、「自称 神経衰弱」が非常に多いということです。
全ての人に平等観を持つことが対人関係を向上させる
ここでいう、「平等感」というのは、人類は皆平等、という意味ではありません。
本の中でも出てくるのですが、親鸞が泥棒を見て、自分にも盗もうとする心がある、と感じることを「平等観」と言っています。
ここでみなさんが平等観に目ざめるならば、吉田君のような神経質症状に深く悩んだ話にたいして、なるほどと思いあたり、同感し、共鳴することができ、お互いに調和し、融和することができるようになるのであります。
P.137
色々な人の良い面、悪い面、それぞれにあります。
その悪い面を見た時に、「あいつはだからダメなんだ」とするのではなく、「自分もそういうところがあるよな」という風に考えていくことが大切だということです。
人の良い面は、良い面でいいですが、悪い面をみつけて、バカにしていたら、全く、その人とお近づきになることができません。
どんな組織であれ、お互いに思いやり、協力し合うことが大切なわけです。
そのためには、相手の悪い点を見て、それを自分の中にも見つけるという方法があるという話です。
立派な人になりたい、金持ちになりたいなら
立派な人間になりたいと思う人は、立派な友人、先輩をよく見ればよいし、金持ちになりたい人は財産家のやり方に心をとめて研究すればよいのです。
(〜略〜)神経質者の場合はひねくれていますから、ちょっと簡単にはゆきません。神経質者の場合は、えらい人になりたい欲望はいっぱいなのだけれども、えらくなりたいあまりにえらい人をまともにみようとせず、尻目に見ながら劣等感に悩み、その劣等感をなくしようとしてもがき苦しみ、自然の人情に反抗して強迫観念をおこしているのであります。(〜略〜)「物ごとに当たって、それを見つめよ」と教えます。P.164〜P.165
大切なのは、この最後の部分かと思います。
「物ごと」というのは、自分の仕事なり役割なり、立場なりで、普段行っていることです。
医者であれ、学生であれ、エンジニアであれ、接客業であれ、全て、目の前の今やっていることをよく見て、上手い人がいるなら、その人のやり方を真似、自分でさらに工夫できるところは工夫し、向上させていくということです。
これを、最初の例の「金持ちになりたい」というのであれば、その「金持ち」の人が、何に対してどのように取り組んで、財を築いたのか、自分なりに調べて、それを真似て、工夫して自分なりの方法を見つける、もしくは、違うな、と思うなら変えることが大事だということです。
「覚悟」や「信念」という話ではなく、ただ、「見て行動をする」ということが大事だと言われています。
まとめ
森田博士の話は、非常に具体的でわかりやすいです。
そして、昭和初期に書かれた本にも関わらず、全く色褪せていない内容です。
それは、森田博士自身の考え方が非常に進んでいたとも言えますし、それでも人気はあったようですから、いつの時代も普遍的なものもあるということなのでしょう。
「神経質」な人というのは非常に多いです。
自分が神経質と思う人も、ある他人のことを神経質だと思う人も一読してみていただくことをお勧めいたします。