書評 荒木飛呂彦

書評「荒木飛呂彦の漫画術 著 荒木飛呂彦」【実は生き方の本】

次の点についてお伝えします。

・この本を読んで気になった点や気づいた点を3つご紹介し、それを人生にどのように活かすのか

私自身、ビジネス書、歴史書、哲学書、技術系書籍などを年間少なくとも100冊くらいは購入して読んでおります。

荒木飛呂彦さんといえば、漫画「ジョジョ」で有名かと思います。
実はこの本は、2年前に一度買っていたのですが、もう一度買いなおしたくらいいい本です。

この本の何がいいかといえば、物事のとらえ方や、仕事の仕方に至る部分まで参考になることが多いからです。
誰でも、さまざまな仕事や生活をする中で、判断を問われることが多々あると思います。

そんなとき、荒木飛呂彦さんは物事をどのようにとらえているのかを知り、それを参考にすることができます。
また、荒木先生の漫画を交えて、実際にどういう意図で書いていたなどを知ることができることも面白い点です。

この記事は、2,3分で読めると思いますので、もしよろしければ読んでみてください。

荒木飛呂彦の漫画術 著 荒木飛呂彦 集英社新書

とにかく描き続ければ突破できる

漫画を描き始めてからしばらく経つと、「最近、なんか全然ダメだめだな」という時期が必ず来ます。それでも、多少悩んでも、とにかく描き続ければ突破できるものです。そもそも、描いていなければ、悩むということすら起こりません。

P.177より引用

この話の続きは、荒木先生が、「ポージング」というご自身独自のスタイルにたどり着くまでの話が書かれています。ただ、私が興味を持ったのは、「なんか全然ダメだな」という、こういう時期が必ず来ると言い切っていることです。

このことは、漫画家に限らず、どんな分野でもありえると思います。そうしたときでも、ひたすらに学び続け、試行錯誤を続けていったときに、道は開けるということかと思います。

特に、少年漫画の多くがそのようなスタイルかと思います。荒木先生も、実際の人生では、迷ったり、立ち止まったりしながら進んでいくものだけど、漫画は、ずっと上がり続けていかなければならないとありました。

漫画を読んでいる人は、自分を投影してみているわけですから。

うまくいっていないように見えているものだとしても、立ち止まっているように見えたとしても、もしかすると、人はあゆみ続けているのかもしれません。
人は、考えている、悩んでいる、ということだって、はたから見たら止まっているように見えても前に進んでいます。

一目で誰の絵かわかることが重要

「下手でも売れる」漫画の絵は「上手なのに売れない」漫画の絵と何が違うのか。その秘密は、作者がだれかすぐわかる、ということです。
具体的に言うと、売れている漫画は、たとえば五メートル、10メートル先から見ても、
「あ、あれはあの先生の作品だ」というのがわかるのです。

P.155より引用

この考え方は、ビジネスでも通じる部分があると思います。
苦戦するビジネスというのは、他との違いが出ていないサービスや商品です。
売れている商売というのは、なんらかの独自性を保つことができています。

ただ、学習塾などのように、「人」が中心のビジネスになると、それだけで違いはでます。
そういうビジネスは、あえて、そこまで違いを出そうとしなくても、そこそこなんとかなることもあります。
「人」が違えば、「人中心」のビジネスは同じことをやっていても全く異なるからです。

インターネット上のサービスや、なんらかの汎用品(一般的に使われるもの)の場合は、独自でありながら、欲しいと思う人がいるビジネスにする必要があります。

今の世の中、ほとんどのサービスや商品は、すでに誰かしらがはじめています。その中で、差別化をどのようにはかるのか、ということです。漫画においても、「テーマ」には作者の哲学が出る、ということを荒木先生は言われていましたが、同じことだと思います。

自分のサービスや商品は「何がテーマ」なのか、ということです。

自分のテーマを考える

「テーマ」はあくまで自分の人生に沿っていることが重要です。「テーマ」を決めるときに絶対にやってはいけないのは、自分ではたいして興味がないのに世間に合わせて「テーマ」を設定するやり方です。(略)
「何を描きたいか」「なぜ描くのか」ということは、漫画家にとって根本的な、一番大事なことです。

P.222より引用

このことは漫画に限りません。「仕事」だって同じです。今、AIが売れているから、AIがいいだろう、とした場合、AIが下火になってきたら、今度はどうしよう、ということになります。
ただ、仕事については、得意でも苦手でも好きでも嫌いでもなくても、続けていると、「できるように」なってくるという点があります。つまり、その場になじむということですね。

その点、サラリーマンとして仕事をするのであれば(トップを目指さないのであれば)、漫画家などほど厳しさは求められないのでしょう。ただ、サラリーマンだとしても、本当に仕事で成果を考えるのならば、自分の「テーマ」、つまり、なんのために働くのか、ということを見つけて進んだ方がいいはずです。

どんな分野の仕事であれ、自分の「テーマ」や「哲学」について考えてみたときに、自分の今の仕事はどうなのか、振り返ってみると何かに気づくことがあるかもしれません。

まとめ

漫画の描き方の本ではありますが、そこから仕事などにつなげた形で書きました。
何より、この荒木先生の本は読みやすく、それでいて、人生に活かせる内容が多いため、漫画家になりたい人だけでなく、また、ジョジョに別に興味がない人も読んでも(知っている人の方が楽しめますが)、面白いのではないかと思います。

もしよろしければ、実際に読んでみていただけることをお勧めいたします。

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